レポート&コラム

更新日2021年1月20日

1月の森の会議レポート(2021年1月9日)

 1月9日(土)は、2021年初めての森の会議を開きました。今回は冬期特別編として、ゲストを迎えてSDGsについて学んだ様子をご紹介します。

 

 

 最近よく耳にする「SDGs」という言葉ですが、みなさんは詳しい内容を知っていますか?まずは参加者全員で「SDGsといえば?」を考えました。「バッジ」や「カラフル」「明るい未来」など、思いつく言葉が集まります。中には「カラフルなバッジがマーブルチョコに見える」という声もあり、ぼんやりとしたイメージを持っている人が多いようです。

 

<思い浮かんだキーワードを紙に書いて見せ合います>

 

 「『SDGsってなんなん?』って子どもに聞かれたら何と答える?」の質問では、「世の中の目標」「社会の勉強」「世界の人がやっている」などのコメントが。「飲みすぎない」と答えた参加者は「SDGsの内容を噛み砕いて自分に置き換えると、今日の自分は我慢せずにビールを飲むけれど、明日の自分が困らないように飲みすぎないようにすることだと解釈しました」との回答もありました。

 

 SDGsとは、国連が定めた「持続可能な開発目標」。「貧困をなくそう」や「ジェンダー平等を実現しよう」、自然に関する「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」など17の目標があります。この目標に向けて公共機関や企業、団体がそれぞれのできる取り組みを行っています。

 

<淡路景観園芸学校の守さん。昆虫食にも詳しいです>

 

 参加者の皆さんは、なんとなくSDGsについて関心があるけれど、具体的な内容を聞かれると分からない…と感じているよう。ここからは淡路景観園芸学校の守宏美さんから学校での取り組みついてご紹介いただきました。

 

守さんは校内でSDGs担当に指名された当初、「SDGsなんて流行りもの」と消極的に捉えていたそう。しかし研修に参加するうちに、日本は相対的貧困割合が14.9%で先進国35カ国の中で9番目に高いことや、ジェンダーギャップ指数が153カ国中121位と、日本が置かれている現状にショックを受け、学校の強みを生かして社会にどんな貢献ができるのか考えはじめたといいます。学生、教員、職員の有志でSDGs推進チームを作り、「2030年に淡路島のステキなものを残していくために何ができるのか?」と2019年から11のプロジェクトをスタートします。

 

<淡路景観園芸学校で取り組んでいる11のプロジェクト>

 

 「荒れ地を救うヤギ除草」のプロジェクトは、ヤギに畦畔の草を食べてもらう実証実験。石油を使わずに除草できるため、経費や環境への負荷を軽減できると各地で取り入れられています。2020年は島内の耕作放棄水田4ヶ所で実験し、除草の効果はもちろん、在来種を守ることにもつながったそう。実験をしていると集落の人が集まり、コミュニケーションも生まれたといいます。

 

 「海と山をつなぐ かいぼり」のプロジェクトでは、ため池の水を抜き、底に溜まった泥を掻き出す地域の伝統行事に参加。池の水質浄化だけでなく、ため池の泥を海に流すことで海の栄養にもなるそう。農家だけでなく漁師の参加もあり、地域ぐるみで取り組んでいるといいます。淡路景観園芸学校のメンバーは、泥の中で捕獲した鯉やザリガニ、亀などを持ち帰り調理して食したそうで、徹底したSDGsへの取り組みに感心します。

 

はじめはSDGsに消極的だった守さんですが、さまざまな取り組みを経てイメージが変わったかと質問すると「SDGsは広報がしやすく、地域連携のために有効です」との答えが。大きな目標に沿って、学校の強みを生かしながら地道に地域で活動する守さんと淡路景観園芸学校の皆さんに、参加者はとても興味を持っていました。

 

 

 次回の森の会議は2月6日(土)にオンラインで開催します。次回は「生物多様性って?」や「どこに向かって環境復元しているの?」など、森について気になっている素朴な疑問を話し合います。ぜひご参加くださいね。

 

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