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更新日2016年12月14日
【森のしんぶんから】ミヤーキーのカメラ
尼崎中央緑地が発行しているフリーペーパー「森のしんぶん」にて
ほぼ毎回連載している「ミヤーキーのカメラ」。
尼崎の森の風景を撮り続ける男「ミヤーキー」こと三宅喬さんが激写した、森の意外な表情をご紹介しています。
森のしんぶんではご紹介しきれなかった写真を、三宅さんのレポートとともにご紹介します。
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初冬ですが、今回は「実りの秋」をテーマにして、写真を選択しました。
最初は、初めてのものです。
はじまりの森で育った「椎茸」第一号です。
これは昨年2月、アマフォレストの会員が、植菌体験した時のホダギです。
次は、季節を勘違いした「おっちょこちょいのどんぐり(アベマキ)」です。
今年も、子供たちが「どんぐり拾い」を楽しんでいましたが、今年は高齢の女性がどんぐりを拾い集めているのを見かけました。
そのどんぐりは、落下すると間もなく尖った先端から根を出し、土の中に潜り、根を張って冬を越します。 そして春暖かくなってから、芽吹きます。
が、今年は「夏」と「秋」が繰り返される異常な気候だったせいか、季節を勘違いして、秋の内に芽吹いたどんぐりがいました。 根の状態が見える様に、どんぐりの手前側を深さ5cm位掘り下げて、撮影しています。
次は、森の「ラピスラズリ」です。
ラピスラズリは12月の誕生石として人を楽しませてくれています。赤色の萼(がく)との色の対比がとても綺麗でお気に入りですが、これは「クサギの実」です。
この実は昔から青色の染色材料として利用されています。青色系統の色が出る物が数少ないので貴重なのですが、この実は媒染材を使わずに染める事が出来るので重宝されているようです。
次は森の不思議の一例です。
写真は「イヌビワの実」です。
イヌビワと言う名前ですが、イチジクの仲間です。
イヌビワは、雌雄異株で雄の木と雌の木が別々です。
不思議➀ 普通、実は雌の木に付くのですが、イヌビワは、雄の木にも
雌の木にも実がなります。
不思議➁ イヌビワの雌の木は、初冬には丸裸になり、幹と枝だけです。
写真は、雄の木で、緑・黄色・橙・赤・赤黒と賑やかです。
不思議③ この雄の木の株下をみると、赤い実が沢山落ちています。
写真の雄の木の実は落ちる事なく、来春までこのままです。
そこで、落ちている実と枝についている実と何処が違うか見てみました。
下の写真は落ちている実の断面写真です。中央が空洞になっています。
また、下の写真は枝に残っていた実の断面です。中に空洞がありません。
その理由は、イヌビワコバチが実の中に卵を産みつけ、卵の周りが膨らんで
丸い虫こぶになっており、その結果、空洞部分が無くなった訳です。
実は「イヌビワ」は、イヌビワコバチと一対一の共生関係にあり、コバチに春花粉を運んで貰うために、このコバチを育てていると言えます。
春になって虫コブからコバチの成虫が生まれ、外の世界へ飛び立つと、役目を終えたイヌビワの実は落果します。
尚、コバチが卵を産まなかった雄の木の実は、秋の内に落果してしまっています。
こうした共生関係を築いて、競争の激しい自然界を生き延びているのは驚くばかりです。
(写真と文 三宅喬)
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