森の会議

更新日2019年4月23日

森の会議レポート(2019年4月6日-7日)その2

環境学習施設として完成したかやぶき民家の活用方法を考えるため、4月の森の会議は特別に許可を得て、実験的に24時間(1泊2日)を古民家で過ごしました。24時間の体験を、3回に分けてお伝えします。(第1弾のレポートはこちら

●森の散策と森の活動

<大きな森になることをイメージしながら散策しました>

昼食後は環境コーディネーターである石丸氏、斎藤氏の案内で尼崎の森中央緑地の真ん中にある森を散策しました。
尼崎の森中央緑地では、県民や企業といっしょにタネから育てた苗木を100年かけて大きな森に育てていく壮大なプロジェクトに取り組んでいます。
散策した森はエノキやムクノキが植えられた場所で、大きな森に成長すればやがてカブトムシ、クワガタ、オオムラサキなどの昆虫やリス(?)が集まってくるとのことです。
森の散策後は石丸氏、斎藤氏の指導のもと、エノキやムクノキの間伐や枝払いの体験を行いました。大きな森に育てるためには1本の木が十分育つスペースをつくる必要があり、間伐はとても重要なお仕事とのことです。間伐した木はパークセンターの薪ストーブや茅葺民家のカマド、あまがさきモリンピックの競技などで有効に使われます。

<環境コーディネーターのサポートで、うまく木を切ることができました>

<大きな枝は結構重たいのです>


●妄想!モリンピック新競技

16時頃からは縁側に集まってモリンピックの新競技を考えました。「スピードを競う種目だけでなく、遅いことや数が少ない方が勝ちになる競技を考えてみては?」とヒントをくれたのは、体育教育を学んでいる大学生のはるちゃん。モリンピックに興味を持ってパートナーズの新メンバーとして参加してくれました。

<100センチ走を試すメンバー。「判定が難しそう」と採用には至らず>


たとえば、ゆっくりと動き続けながら一番遅くゴールした方が勝ちになる「100センチ走」や、的をねらって靴を飛ばす「靴ダーツ?」、木の枝を目の前に置く所作の美しさを競う「ZEN」といった謎の競技など、みんなで妄想してみました。で、実際にやってみようと芝生広場に飛び出して試してみると「靴ダーツ」が大好評。両足の靴を飛ばすとハダシになってしまうので、芝生をじかに感じることができて、中央緑地の魅力が伝わります。

<結構盛り上がった、靴ダーツ(仮)>


●森を食べてみる ~尼崎の森中央緑地の野草~

<(上段左から時計回りに)カラスノエンドウ、ヨモギ、タンポポ、オオマツヨイグサ、ギシギシ、ハルノノゲシ>


森の散策後は夕食のおかずを探すために、尼崎の森中央緑地に生育している野草を摘みに出かけました。案内役は「野草・雑草は、毒性のある危険なもの以外は、基本全て食べられる」との考えをお持ちのアマフォレストの会メンバーの三宅氏です。
みんなで摘んだ野草は、尼崎の森中央緑地の斜面で確認できます。カラスノエンドウ、ヨモギ、ギシギシ、ハルノノゲシ、タンポポ、オオマツヨイグサの6種類をみんなで摘みました。

<これが食べられる野草ですか!>

<斜面のあちこちで野草を見つけることができます>

 

<中央緑地から見える沈む夕日がきれいでした>

さて、日もとっぷりと暮れて、夕食の時間です。野草は主に天ぷらやおひたしにして食べました。食べた感想は「うまい」「少しにがい」「・・・・・」などさまざまでした。

<タンポポをてんぷらにしています>

また、武庫川渡船の宮本氏からはタイの刺身、フライ、鯛めしの差し入れがあり、こちらも絶賛でした。

<鯛めしを釜戸でつくりました>

<武庫川の魚で、フィッシュアンドチップス>

自然の恵みから心のこもった差し入れなど何とか夕食いただくことができました。尼崎の森の自然に感謝です。また、三宅さん、宮本さんそのほか、食事をご提供いただいたみなさまありがとうございました。

 

<自然の恵みや人のやさしさに感謝です>

 

●よるのレクリエーション
夜22時頃からは古民家の中で「ZEN」にも挑戦。間伐材を土間から座敷に移動させるというだけの所作をみんなで鑑賞するという、夜独特のちょっとおかしなテンションで盛り上がりました。

さらに夜は深まり「色んなワークショップやってみよう」タイムに突入しました。まずは「未来言語ワークショップ(WS)」に挑戦。藤本さんが以前体験したというこのWSでは、「耳の聴こえない人」「目の見えない人」「口がきけない人」という3種類の役割を疑似体験します。しりとりや伝言ゲームをしながら、参加した6人は「伝わらない」ことのもどかしさや深刻さにふれることができました。

その後は、公害の歴史から対話を学ぶプログラム「公害クエスト」を体験。203x年という架空の未来で起こった大気汚染の設定に対して、被害住民、行政職員、企業経営者、従業員、医師の役割をそれぞれ演じながら、ロールプレイで対話を学びます。異なる立場の人が対話をすることの大切さと、尼崎はこうして公害の歴史を乗り越えてきたということにふれました。

障害と公害、二つの深刻な社会の問題について深夜23時に森で考えるという、なかなかハードな体験でしたが、その後はじめてしまった「はぁって言うゲーム」は、先に寝ている人たちの邪魔にならないよう笑い声を必死でおさえながら楽しみ、午前1時すぎにようやく全員就寝となりました。

今回、環境体験などの多くのプログラムを実施するに当たり、多くの方の支援を受け、無事に終了することができました。今後の環境体験や古民家の利活用を進めるには、サポートいただける人の確保を始め、様々な課題が多くありそうです。

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